空を祈る紙ヒコーキ


「涼!」

 心地よさを打ち破ったのはお母さんの声だった。昇降口の方から聞こえたその声に振り向くと、お母さんと夏原さん、そして空がいた。

「俺も今合流したんだ。二人ともこっそり涼の入学式見に来てたんだって」

 空は言い親を見やる。暁は学校があるから来ていない。

 母親と義父が来たところで別に嬉しくも何ともない私は、空の説明を聞いてあっそうとしか思わなかった。それに、なぜだか分からないけど昨日までみたく空の目をうまく見られない。

「お母さんも夏原さんも仕事じゃなかったの?」

「お父さんは娘の晴れ姿を見たいからってわざわざ仕事を休みにしてくれたのよ。もっと喜んだら?」

 お母さんの恩着せがましい言い方は今に始まったことじゃないけどやっぱり嫌だ。来てって頼んだ覚えはないし。夏原さんの娘じゃないし。いつの間にかお父さん呼びになってるし。

 この人達と別々に帰りたいやと思いつつ、お母さんにグチグチ文句を言われるのも嫌で口先のお礼を夏原さんに告げた。

「仕事すみません。今日はありがとうございます」

「いいんだよ。親として当たり前のことをしてるだけなんだから。そうそう、せっかくだ。これから食事でもして帰ろう。おいしい寿司屋があるんだ」

 さすが自分で料理屋を経営しているだけある。夏原さんの連れて行ってくれた寿司屋のお寿司は今まで食べたどのお寿司よりもおいしかった。回転してないお寿司を私は生まれて初めて食べた。