してやられた。そんな気分で壇上をジト目で見上げる。私の気持ちなんて知らない空は、照れ笑いを浮かべ新入生の並ぶ方へ顔を向けた。
「生徒会長っていってもまだ仕事って言えるようなことほとんどしてなくて、これが初仕事っていうか。こういう場所でしゃべるのも慣れてなくて緊張しっぱなしなんですが。皆さんの入学、心よりお祝いします!」
グダグダな挨拶は全校生徒の笑いを呼んだ。私だけは笑う気になれず、ヒヤヒヤした気持ちで空の言葉を聞いていた。不本意とはいえ今は一応身内。これ以上失態を見せないで!
空は、マイペースに生徒会長の挨拶を締めくくった。
「新入生の皆さんが楽しい学校生活を送れるよう、生徒会一同サポートします。
あと、個人的な話になるんですが、生徒会の活動とは別に音楽活動の一環としてバンドもやってます。音楽経験のある人、興味のある人は、ぜひ軽音楽部に見学に来てください。直接三年E組の教室に来てもらってもいいし、平日の放課後は毎日部室棟二階の部室にいます。メンバー募集中なので。よろしくお願いしまーす」
「生徒会長! 部活のPRはNGっすよ〜」
どこからかそんな声がして、全校生徒が再び笑った。
それまで慣れない学校に緊張していた新入生達も、空の挨拶ですっかり気が抜けたらしくリラックスした面持ちに変わった。
「生徒会長かっこいいね。面白いし」
隣のクラスの女子の話し声。あーあ、新入生女子にもさっそく人気になってる。私だって空と無関係の一新入生だったら少しぐらい笑ったかもしれない。
でも、今はなぜかそんな気分になれなかった。

