「じゃあ俺も留守番するよ。引っ越してきたばかりの家に涼一人じゃ心細いだろうし」
「おお、そうだな。空も居てくれると助かる」
全くもう、空君にまで迷惑かけて……。お母さんがそんなことを言っているけど、いつもみたく耳が痛くなかった。空の言葉の方が大きかったからかもしれない。
こんな可愛げのないヤツ放っておけばいいのに、どうしていちいちかまってくるの?
優しい振る舞いをする空の気持ちが理解できなかった。
引っ越し業者に荷物を運び込んでもらい部屋の整理が終わる頃には夕方になっていた。
お母さんや暁は夏原さんと鰻を食べに行った。見送りはしなかった。自分の選んだ部屋で、私はひたすら部屋を整えていた。
いつまでここに住んでいられるか分からないけど、汚い部屋は嫌だから一応。
夜になりかけている。新品のカーテンを閉めようと立ち上がった時、空がやってきた。
「まだやってたの? 手伝おうか?」
「別にいい。一人でやれる」
「続きは明日にすれば?」
「早めに終わらせたい。あと、留守番なんて頼んだ覚えない」
「そうだな」
こっちのセリフなんて気にせず、空はマイペースに私の部屋に足を踏み入れ本棚を眺めた。そんなに珍しい物は置いていないはずだけど。
元々住んでいた自分の部屋だったら入られるのを嫌がっただろうけど、まだ来たばかりの部屋に愛着は湧かず、他人の入室を拒む気にもならなかった。荷物を整理し終えても他人の家に来たという感覚が抜けない。

