空を祈る紙ヒコーキ


「初めまして。高取涼です」

「ごめんね。受験が終わったばかりでゆっくりしたいだろうにバタバタさせてしまって」

 謝る夏原さんに、お母さんが答えた。

「いいのいいの。涼は昔からしっかりしてるから平気よ」

 よく言うよ。進歩がないとなじったくせに。私には平気できついことを言うのに夏原さんにはいい顔をするお母さんに嫌気がさした。

「夕食はみんなで鰻でも食べに行こう。近くに美味しい所があるんでね」

 夏原さんの提案にお母さんも暁も喜んでいた。私も鰻は好きだけどこのメンバーで食べに行く気にはなれなかった。

「私はいいです。新学期の支度もしたいし疲れてるので……」

「ワガママ言わないの! せっかく夏原さんが誘ってくれてるのに」

 ご飯くらい気楽に食べたい。もうすでにかなり疲れていた私は、早くもお母さんに責められた。

「いいんだよ。涼ちゃんも受験が終わったばかりで疲れてるんだ。家でゆっくりしてていいよ。テイクアウトもできるから、涼ちゃんの分はお土産に持って帰ることにしよう」

「ありがとう。ごめんなさい、この子ったらワガママで……」

 お母さんが謝りながらものすごい目でこっちを睨んでくる。

 断り文句の半分は食事に行かないための嘘だけど、今日はずっと食欲がない。今朝お母さんや暁と行った喫茶店のモーニングもほとんど喉を通らなかった。