空を祈る紙ヒコーキ


 車を降りた瞬間、新築独特の匂いがした。想像より大きな家で、池付きの広い庭まである。シャッター付きの駐車場も完備されている。

 夏原さんはお母さんと暮らすためだけにこんな豪華な一軒家を買ったんだ……。どんな神経しているんだろ。信じられない。

 駐車場に車を入れているお母さんを見やった。幸せそうな顔をしているけど、幸せだからって人の性格なんてすぐに変わらない。夏原さんはお母さんのどこを好きになったんだろう? 私にはサッパリ分からない。父よりは確実に経済力のある人だってことは分かったけど。

「夏原さん達は先月からここに住んでるみたいよ。中に入ったら好きな部屋を選んでいいって」

 車を置いて戻ってきたお母さんがインターホンを押すと、すぐに中から足音がした。

「待ってました。どうぞ上がって下さい」

 私達を玄関先で出迎えたのは空だった。

「父さーん! 高取さん達来たよ〜」

 家の中に向け大きな声で夏原さんを呼ぶと、空は私達を見た。

「息子の空です。これからよろしくお願いします。暁君、初めまして」

「こんにちは!」

 誰よりも先に空へ挨拶したのは暁だった。お母さんの言葉通り、暁はお兄ちゃんってものに前向きな期待があるんだろう。心底嬉しそうに空を見ている。

「空君、子供二人が迷惑かけるかもしれないけど、どうかよろしくね」

 お母さんも続けて空に挨拶し、暁と共に家の中に入っていった。