空を祈る紙ヒコーキ


 受験後、燃え尽きて何もする気が起きなかったので、自室のベッドにうつぶせで寝ころんでいた。

 すると、お母さんがノックもせず無遠慮にドアを開けてきた。

「アンタはホント進歩がないわね。いくら再婚が決まったからってあっさり私立に行くことを決めるなんて夏原さんに申し訳ないわよ……。アンタみたいな娘を持ってホント情けない」

 冷ややかな声だった。そこに娘を心配する要素なんて微塵もなく、ただ出来の悪い子供を非難したいだけのように聞こえた。

 私が受験を終えたらすぐ、夏原さんが今年再婚生活のために買った新築の一軒家に引っ越し一緒に住むことになっている。そういうこともあって、お母さんは夏原さんに金銭的負担をかけたくないんだろう。

「だったら再婚なんてやめればいいじゃん。それかお母さんと暁だけ夏原って人と住めば?」

「ワガママを言うのはやめなさい! アンタ一人で暮らしていけるほど世の中甘くないのよ!?」

「お母さんの実家あるんでしょ? 私一人でそこに住む」

「高校は!?」

「だって私立はお金かかるからダメなんでしょ?」

「そういうことを言ってるんじゃない! どうして分からないの!?」

「分からないよ! お母さんは自分の不幸全部私のせいって思ってるんじゃないの? そう聞こえる!」

 言った瞬間、左頬を手のひらで強くぶたれた。昔から時々ある、お母さんのビンタ。暁はされたことのないこと。