空を祈る紙ヒコーキ


「部活が忙しいのかと思ったけどそれは中一の頃もそうだったし、おかしいと思った。最近つぶやき減ったけどどうしたのなんて訊いたらツイッターやるの強要してるって受け取られてウザがられるかも。そう思ったら何も言えなかった。でもいつも内心モヤモヤしてた。訊くべきか、訊かないままでいるべきか」

 そんな気持ちが思っていたより長く続いたものの、電話やLINEだと宝来君は普通だった。なので空もあまり深く考えないよう努力した。

 中三の夏休みが始まってすぐ、久しぶりに宝来君と会うことになった。一週間くらい泊まりに来いよ、こういう時じゃないとゆっくり話せないし。宝来君は空にそう言った。

「俺はいいけどお前はいいの? 部活もあるだろ。一週間も俺のこと泊めて大丈夫? そう訊いたら『部活はやめたから大丈夫。俺にはバスケ向いてなかったみたい』ってヘラヘラしてた。本人がそう言うなら俺も何も言わないけど、だったらどうしてツイッターの頻度減ったままなんだろって、よけいに疑問が濃くなった」

 わだかまりがあったものの、仲の良い二人。会うと話のネタは尽きなかったし宝来君と過ごす時間は楽しかった。笑って過ごせる一週間はあっという間に終わり、空が自宅に帰る日になった。

 最終日。駅のホームで新幹線を待つ間、たくさんの人の往来でむせそうになる空気に苦笑いした空に、宝来君はぼそりと問いかけた。

「ねえ空。自分の存在って世界にどのくらい影響してると思う?」

「そんなこと考えたことない。存在してるから存在してる。それだけだろ」

「俺はさ、俺にはそこまでの存在価値ないと思うんだよね。だって世の中にはこんなに大勢の人間がいる。俺の代わりなんて吐いて捨てるほどいるでしょ。生きててもたいして周りの役に立ってないし、だったら死んでも別にいいよね。俺ごときがいなくなったって世の中は何も変わらず動いていくんだから」

「どうしたんだよ……。お前そんなこと言うヤツじゃなかっただろ?」