「でも、音羽台選んで大正解! アタシはやっぱり、専門的にピアノや音楽の勉強をするよりこうやって毎日気の合う友達と曲創って演奏してる方が楽しいから」
「私も今はこの学校へ来れてよかったと思ってる」
音羽台に行くことが決まった日は絶望し、本命の高校以外は価値がないと思い込んでいた。でも、そうじゃなかった。絶望を超えた先には知らない世界が広がっていた。
どこにいても道は開ける。私にとっての非日常。優しい刺激に満ちた日々が待っていた。
空に対する気がかりもひとりで抱えていたらきっともっと重かっただろうけど、愛大が一緒に考えてくれたので今はだいぶ前向きに考えることができている。
「生徒会長と明日ゆっくり話そ、三人で。アタシもプレジャーディレクションの仲間として二人を見守りたい」
「ありがとう。愛大。すごく心強い」
安心したら眠くなった。まだ夕方なのに、私達は愛大の部屋にあるベッド型のソファーに二人並んで横たわり眠りについた。愛大も私につられてウトウトしたらしい。
そういえば昨夜も詩を書いていて寝るのが夜中の三時を過ぎてしまっていたんだっけ……。少し寝かせてもらおう。意識の隅でそんなことを思った。
「涼、起きて!」
「あと五分……」
「ダメ! 大変なんだよ、起きて!」
揺すり起こされながら愛大の興奮気味な声を聞き、ああ今日は愛大んちに泊まることになったんだっけと思い出した。さっきまで橙色をしていた空はすっかり暗くなり、室内にはベッド脇の間接照明が放つ淡いオレンジが満ちていた。もう少し寝ていたいと思いながらそういうわけにもいかないのだろうなと諦め、のっそり上半身を起こした。

