私が秘密にしていたことを愛大が受け入れてくれたので、今度は空に関する心配事を話した。
「空と初めてネカフェで会った時のこと、私は今でもハッキリ覚えてる。だけど空は覚えてなかった。最初はとぼけてるのかと思ったけどそうでもないみたいだし、思い出す様子もないし……。何なんだろあれ」
「変だね。そんなことがあれば初対面でも強く印象に残るよね」
「初対面の時のことだけじゃない。空は時々記憶をなくすの。本人も人との会話がかみ合わなくておかしいと思うみたいなんだけど、それが自分の記憶のせいとは気付いてない……」
「さっき部室で話してたのもそういうことで?」
「うん。いま愛大に話したこと、昨日空にも話したばかりなんだ。空も心配してくれた。引かずに聞いてくれた空の力に私もなりたいと思ったのに、私の大切な話を空が忘れてるって知って、とても冷静じゃいられなかった……」
まずい。涙が出る。抑えようとすると、その気持ちを受け止めるように愛大が背中をさすってくれた。
「生徒会長のことが好きなんだね、涼は。生徒会長も涼のこと好きだと思うよ」
「分かるの?」
「分かるよ〜。兄妹っていっても何か事情があってそうなったんだろうなって思ったし、二ヶ月も一緒にバンドやってたらね」
「お互いに付き合う気はないんだ。今のままでいい」
「そっか。そういうのは本人達次第だもんね。いいと思うよ」
愛大は特に付き合うことを勧めてきたりはしなかった。その理解が今は心地よかった。両想いなのに付き合わないなんておかしいと言われるかと思っていたから。

