「涼のこと好きだもんアタシ。嫌いになれそうにない。そんなもんだよ」
もっと軽蔑されると思っていたので、愛大の言葉を理解するのに数秒かかった。
「涼だってつらかったんだよね。同じ立場になったらアタシも涼と同じことしたと思うもん。むしろ親の借金のことなんて涼は悪くないのに何で他人から詮索されて好き勝手悪く言われなきゃなんないの? って話」
「愛大……」
「って、偉そうなこと言えないけどさ。アタシも間違ってばかりだし今だって自信ない」
「愛大は完璧な子だと思ってた。愛大でもそういうこと思うんだね」
「しょっちゅう思うってー! 一度も間違わない人なんていないよ。だって人は心があるんだもん。もし誰かが涼のこと悪く言ったとしてもアタシが許すから大丈夫!」
愛大に頭をヨシヨシとなでられた。
「誰だってあるよ。アタシも友達がやってる悪いこと気付いてたのに見ないフリしてモヤモヤした。さっきの話なんだけど、味方してくれてた幼なじみ二人がアタシを嫌ってる子の愛用楽器を隠れて壊してた時とかね。注意も何もできなかったししようとも思わなかった」
「嫌われたくなくて?」
「そうだよ。友達のこと好きな気持ちはそのままだったから変に指摘してギクシャクしたくなくて。あと、やってることは悪いことかもしれないけど二人ともアタシのためにやったんだって思うと嬉しくすらあった。ね? 汚いでしょ、アタシも」
愛大にもそういう弱さがあるんだと知って正直ホッとした。悪い心を持つのは人間なら当たり前で、つらいのも私だけじゃない。間違えてもそこで終わりじゃなくこれから何度でもやり直せるんだと言われた気がした。

