告白して振られたら普通は落ち込むものなのかもしれないけど、この時はそんな気持ちが微塵も湧かなかった。むしろ前に進めたとすら思え清々しい気持ちだった。
空が私を助け受け止めてくれたように私も空の力になりたい。記憶が欠けていることも含めて空の全てを受け入れていきたい。こんなにも誰かのために動きたいと思ったのは生まれて初めてだった。
好きだから助けたい。
独りで悩んでほしくない。
「俺なんか」と言えなくなるくらい幸せになってほしい。
その決意を簡単に揺るがすようなことがあったのは翌日。いつも通り軽音楽部の部室に同じ顔ぶれが集まり放課後の練習をしていた土曜の午後のことだった。土曜日は基本午前授業なので午後の半日を丸々部活に使える。久しぶりに新しい曲を作ろうと私達は気合いを入れていた。
空がギターのチューニングをしている傍ら、机に向かいルーズリーフに詩を書いている私の手元を愛大が覗き込む。
「すごいこれ。なんかリアル! 青春要素あるけどどこかドロドロしてるっていうか……」
「中学の時に一緒にいた子をモデルにしてるんだ。色々あって今はもう連絡してないけど」
「色々?」
「勉強しか能ないよねーって言われたり」
「ひど! そんな友達アタシも離れるよ。勉強できるって長所じゃんね!」
「ありがと、愛大。でもこうして詩の材料にできてるからああいう経験も無駄じゃなかったかなって今は思える」
「涼は強いねー。アタシも涼みたいになれたらなぁ……」
「まだまだ弱いよ。それに愛大は今のままで充分だよ」
「かなぁ? だといいんだけどな〜」
微妙な笑みを浮かべる愛大に引っかかりを覚えつつ、私は空にも話を振った。
「空にもちょうど昨日色々話したばかりだよね。中学の時のこと」
「そうなの? アタシも涼の中学話聞きたーい!」

