空を祈る紙ヒコーキ


 初恋の人もそう。噂を知るなり私のことを悪く言った。こっちが勝手に片想いしていただけだし告白するつもりもなかった。今となってはあの人のどこを好きだったのか思い出せもしないけど、

「親が借金まみれとか引くわー」

 休み時間、廊下で友達と笑い合いながらそう話しているあの人を見て深いショックを受けた。一ヶ月くらい悲しい気持ちを引きずった。

 みじめでつらくて、気持ちのやり場が見つからなかった。小学校を卒業する頃、私は孤独だった。

 一人でもいいから励まし合えるような友達がほしかったけど、このままでは期待できそうにない。それこそ学校を変えて噂を知らない人達に出会わないと無理。仲間を求めるのは諦めた。

 もう誰も信じない。友達も、好きな人も、男も女もみんな同じだ。人間なんて嫌い。家族ですら……。


 絶対父のような大人にはならない。お母さんみたいに結婚もしない。

 中学生になった頃、勉強を頑張ることで周りを見返そうと思った。

 誰にも馬鹿にされたくない。

 親と私は違う人間だ。

 声に出さずともそう主張したかった。