「お母さんは理不尽だししょっちゅうムカムカさせられるけど、再婚に理解示すくらいはしていいかもって今は思ってる」
「変わったな。涼は。出会った頃と大違い」
「そうだね」
深入りするのがこわくて空のことも最初は遠ざけようとしていた。愛大がいなかったらここまで柔らかい気持ちは持てなかったかもしれない。
「自己表現はストレス発散になる。バンド活動は涼の活力になってるんだな」
「だと思う」
詩を書き、プレジャーディレクションで歌うようになってから私は変わった。自分でもそう感じるのだから空や愛大から見てもそれは明らかなんだろう。
「ごちそうさま。私は新しい詩でも書くよ」
ピザを食べ終わると自分の部屋に行こうと立ち上がった。そんな私に空はついてきた。嬉しいのに部屋で二人きりになるのが恥ずかしく、部屋に入る前に「ギターは?」と訊いてしまった。
「練習したいってのは嘘。涼が行かないって聞いて俺も外食断ったの。最近二人で話せることなかったし」
「そこは練習しようよ。ていうかそんなにピザ食べたかった?」
思わずそう返してしまった。二人きりになる機会をわざと作ったみたいな空の言葉にドキドキしてしまう。私のツッコミゼリフをどう受け止めたか知らないけど、空はそれをスルーした。

