めまぐるしい日々の中、私達プレジャーディレクションのメンバーは雑談すら無意識に盛り上がれるほど仲が良くなった。愛大は空に対して丁寧なしゃべり方を最初ほどしなくなっていたし、空もそれを受け入れてか愛大のことを呼び捨てで呼ぶようになった。
時に曲作りのことで意見がぶつかることもあったけど基本的な感性が似通っていた私達はすぐに譲り合い意見のすり合わせができた。
バンドの成長につられるかのように私自身も変化していった。愛大との友情は深まり、空への恋愛感情みたいなものも目に見えて大きくなっていく。
空が笑いかけてくれるだけで泣きそうなほど嬉しくなる。目が合うだけで胸がドキドキする。少し会話が途切れただけで切なくなる。
決して好きになってはいけない相手だ。好きになるなと本人にも言われている。でも、会うたび、声を聞くたび、空を意識してしまう。
一度好きになると簡単にその気持ちは消えないのかもしれない。それでも頑張って空にだけはそっけない態度を取ることもあった。初対面の時の感じ悪さを演出していれば気持ちをごまかせるし、空にも「涼はこういうやつだよな」と思われる程度ですむ。
部活で歌っていると気が紛れたし、愛大は休まず部活に参加していたので空と二人きりになることはなかった。家にいるとお母さんや夏原さんの目があるし、暁も空にベッタリなので私は一人部屋で過ごすことが多かった。お弁当を作る当番の週は空が話しかけてきたけど短時間だったし、空はたまに寝坊したので毎日欠かさずダイニングに二人きりということはなかった。だからどうにか自分を抑えて過ごすことができた。
何より私は恋が怖かった。男子も恋も信じられなかったはず。それでも好きになる時はなってしまう。もう、恋愛している人を馬鹿にしたりはできない。二度目の結婚をしたお母さんを責められない。

