空を祈る紙ヒコーキ


 私達はそれぞれ自室にこもり詩やマンガの創作に取りかかった。

 自分の部屋で空の部屋がある方角を向き、彼が夢に近付くことを願った。

 詩はノートパソコンではなくルーズリーフに手書きすることにした。こう思ってしまうのは自分のせいだけど、パソコンに対してどうしても裏サイトへ書き込みをするイメージが拭えないでいる。バンドの作詞作りで自分の汚点を思い出すようなツールを使いたくなかった。

 曲作りのために書くのは初めてだからちゃんと書ける自信なんてなかったのに、面白いくらいに言葉が浮かびたくさんの詩が出来上がった。曲にしたら何曲分になるのか分からないけど、ここまで色んなフレーズがスムーズに頭から出てくるのは初めてかもしれない。

 集中しているうちに夜中になっていた。

 ふとクセのようにスマホを見ると、アミルからLINEのメッセージと不在着信が来ていた。高校に行ってからも週に二、三度連絡が来るけど最近返事をしないようにしていた。詩を書く前にマナーモードにしておいたので着信なども気付かなかった。

 彼女と付き合っていても心がワクワクしなかったなぁと改めて気付く。愛大や空と出会ったからかもしれない。アミルといてもそれなりに楽しかったはずなのに何が良くて彼女のそばにいたのか思い出せなくなっている。

 何を思ったのか、アミルは私をLINEのグループトークに招待していた。私達の学年が集う同じ中学校出身の生徒限定のグループ。

 アミルの目的が分かって腹が立った。中学を出てもアミルはまだ私を貶めたいらしい。中学時代ずっと学年の嫌われ者だった私をそのグループに誘うなんて嫌がらせでしかない。

 アミルはしょっちゅう私を馬鹿にしていたからそういう対応に今さら驚きはしないけど……。不愉快だ。

 こんな不毛な関係はこれを機に完全に切ろう。今の私には居場所があるし寂しくない。アミルのことなんて必要じゃない。