空を祈る紙ヒコーキ




「今何時だと思ってるの! 高校生になったからってこんな時間までフラフラ出歩いて! 遊ばせるために私立へ行かせたわけじゃないのよ!?」

 家に着くと十九時を過ぎていた。やっぱりお母さんは私のことを怒ったけど、空が間に入って事情を説明してくれたのでそれ以上ごちゃごちゃ言われずにすんだ。

 夕食後、二階の廊下で空と二人きりになった。

「ごめんな。部活遅くなったせいであんなに怒られて。部長なのに配慮できなかった」

「謝らなくていいよ。時間忘れるほど楽しかったのは私も同じだし。まだ話してたかったくらいだよ」

「涼もそんな顔するんだな」

 自然と笑みがこぼれていた。私は積極的に何かしていたわけじゃないけど、軽音楽部の部室で過ごした時間はたしかに楽しかった。

「この後、詩書いてみるから」

「楽しみにしてる。俺もギター練習しよっかなって言いたいとこだけど、もう夜だしマンガ描こっかな。久しぶりに」

「最近描いてなかったの?」

「うん。ちょっとスランプ気味? でも今日は思い切り描けそう」

「良かったね」

「無理せず頑張れ。俺も頑張るから」