「なるほど。空は?」
「前いたメンバーとは好きなものに関する言葉をそれぞれ候補として出し合って、最終的にはあみだクジでひとつに絞って決めた」
「じゃあ私達もそうすれば?」
「いや、それはやめた方がいい。それだと自分の言葉を選ばれた人だけが満足して選ばれなかったメンバーには不満が残る。こだわりないヤツは気にしないけどそういうヤツは少数派。こういう活動だからなおさら」
「ですよね。音楽やってる人はオリジナル曲はもちろんバンド名にも強い思い入れが出るし……。皆が納得する名前をつけた方が平等に愛着持てますよね」
愛大も実感のこもった声で空に賛成する。私は特にこだわりがないので二人の方針に合わせることにした。
「じゃあ、ひとまず好きなものをひとつずつ言ってこ。俺は紙ヒコーキ」
「アタシはピアノかな」
「詩」
三人とも見事にバラバラ。空の提案でそれらの言葉をどうにかつなげようとしてみたけど変になるだけだった。
「難しいな……」
「ですね……」
さっきの勢いはどこへ消えたのか、意気込んでいた分二人のヘコみ様は尋常じゃなかった。もっとスムーズに決まると思っていたらしい。