空を祈る紙ヒコーキ


 小五の頃、親が離婚した。

 父のギャンブル癖が直らず金使いが荒いのが原因だった。給料を使い込むのは当たり前。その上消費者金融に借りた分だけではお金が足りず、近所の人達にもたくさん借金していたらしい。

 それらの借金は父側の祖父が全て返して回った。借りたお金を全て返し終えても、それですべて解決というワケにはいかなかった。お父さん側の親戚は、こんなことになったのはお母さんに経済観念がなかったせいだと決めつけた。

 お母さんは真面目にパートの仕事をして、少ない稼ぎで私達の給食費や月の生活費をまかなっていた。そんなお母さんに父は全ての罪を着せ、自分だけ責められることから逃げた。消費者金融への借金も近所の人からお金を借りたのも全てお母さんの指示だったと、父は親戚の前で言い張った。

 借金が発覚し親戚に知られる前、父はたしかにこう言った。

「お前達にはすまないことをした。もうギャンブルはやめる。家族みんなでこれから頑張ろう」

 その言葉は嘘だった。父は私達家族より自分の体面を優先した。父側の親戚に責められるお母さんを守る人は一人もいなかった。子供だった私と暁は口を挟むことすら許されなかった。

 離婚のキッカケは父の借金発覚だったけど、それより前から家は崩壊していた。

 離婚するだいぶ前から、お母さんは職場の独身男性と不倫していた。それもあって、離婚しても父への未練はないようだったし悲しんでもいなかった。新しいスタートを切れると声高らかに新しい恋を楽しんでいた。

「最低な男だった。別れられてせいせいした! あんな男に女は寄りつかないわよ」

 お母さんの口癖だった。離婚して彼氏と順調な時も、お母さんは思い出したように父の悪口を言った。