言われるままに、鞄を持ってきて、
玄関を出れば、

繋がれた手。

やっぱり意味がわからないので


「先輩、これは一体何事でしょうか?」と聞けば、

「デート。」

「誰の?」

「俺とおまえ。」

「なぜ?」

「あー。なんか彼女いるっていったら見たいって話になってさー。断るだけのつもりだったのにさ。」

「というのは?」

「だから、一日付き合えって。な?いいじゃん。暇なんだろ?」

「はぁ。まぁ。」

答えを聞いたにも関わらず、
やっぱり意味はわからない。

まぁ、いっか。
翔ちゃんも機嫌悪い訳じゃないし。

そう思いながら、繋がれた手を払うことなく、
進み、駅前にある普通のファミレスに入っていった。


「翔ー!」

お店に入ればすぐ、奥の席から女の人がこっちに向かって手招きしてる。


「河瀬。っておまえらもいんのかよ。」

呼ばれたほうに歩いて行けば、先程声をかけた女の人と他に女の人が2人と男の人。

「翔、本当に彼女いたんだねー。」
「本当だったんだねー。だから彼女作らなかったのかー。」

「ってか彼女可愛いじゃんー?小動物系(笑)学校どこ?翔が嫌になったら俺と付き合おうよ(笑)」

なんかいきなりな質問になんて答えていいか、わからずにいれば、

「見せたから、帰る。」

「え?なんでー?一緒に遊ばないのー?」

「名前何ちゃん?友達とか誘って一緒に遊び行こーよ。」


「はじめまして。矢島奈々です。先輩と同じ学校の1年です。」

とりあえず自己紹介からなのかな?と思い、口を開けば、

「言う必要ねーだろ。」

と怒られた。

なんで?
聞かれたから答えたのにな?

「えー。同じ学校なんだー。」

「翔いつの間にー!?」

また口を開けば、怒られるのかな?と思い、とりあえず黙る。

「うるさい。とりあえずそーいう事だから、付き合わない。んじゃ、帰るー。」

「うわ、相変わらずクールだねー。」

「翔ー。彼女にあきたら私待ってるからねー(笑)」

なるほど。
この女の人達は翔ちゃんが好きなんだ。

で、私が彼女って事になってて、断る口実に使われた訳か……。

まぁ。
いいけど。

でも、翔ちゃん、私、彼女じゃないから、すぐバレちゃうよ?