みゆがひとりで泣いている姿を、
俺はここから、かぞえきれないくらい見てきた。
見てるこっちのほうがくるしくて、
泣きそうになったんだ。
だけど、みゆが高校に入学してから、
ある男があらわれた。
みゆの近くにいて、
みゆとはなして、
みゆをだきしめるそいつに、
俺はすごく嫉妬をした。
ほんとうだったら、俺の場所だった。
ほんとうだったら、俺がすること。
『翼くん』
そう呼ぶみゆの顔を思いだすと、
胸がしめつけられる。
俺は空の上から、そんなふたりを
心をえぐられながら見守ることしか
できなかった。
トキが経つにつれ、
いろいろ変わっていくものがある。
古い建物はこわされて、
あたらしい建物がたてられたり、
俺の親友が、髪をあかるくしたり、
……みゆの気持ちの、
変化だったり……。
ずっと見てたから、わかるんだ。
みゆが、翼ってヤツにむける瞳が
まえと変わっていることに。
……みゆ、
おねがいだから、俺だけのみゆでいてよ……。
俺がそっちにいたら、
まちがいなくみゆはそんなヤツのことなんか
好きになってないだろ?
俺だけのみゆだっただろ?
俺、ここにいるから。
みゆを見てんだよ……。
俺がヤキモチやきなの知ってんだろ。
っなんでほかの男としゃべんだよ……!
みゆから俺が見えてないから、
こんなこと思っても意味ねぇのに……。
もう、くるしいんだ───。