「はぁ……はぁ……」
雨にぬれながら走ってきたせいで、全身がベタベタだ。
あたまの上のおだんごもくずれている。
だけどいまは、そんなことなんてどうでもいい。
ただキミに、つたえなきゃいけないことがあるから。
「っ翔陽ちゃんのバカ……」
みゆは、だれもいない海でそっとつぶやいた。
「翔陽ちゃんがあいにこないから、みゆ、ちがうひとを好きになっちゃったじゃんかっ……」
翼くんが好きかもしれない。
やだ、なんて言ったけど、ほんとうはだきしめられたのも、キスされたのも、全然嫌じゃなかったの。
翔陽ちゃん、ごめんなさいっ……。
だめってこと、ちゃんとわかってるから……。
「っみゆ……」
うしろから雨の音にまぎれてきこえてきた、いまにも消えてしまいそうな声。
───翔陽、ちゃん……?



