「みぃ、ゆっくりでいいからね」

かな兄が私に仕事を回す時にいつも言っている言葉。

だけど、私も役に立ててるのが嬉しいから頑張れるんだ。

「はぁい」


手渡された書類は今日1日掛かって終わりそうなくらいの量。

早速席について、準備を始める。

鞄から眼鏡を出してきて、パソコンに向かって取り掛かる。

この眼鏡はパソコン用の眼鏡で、月末に会社に行くようになる時にかな兄が買ってくれた。

『みぃの疲れを少しでも軽減出来たらいいな』

と苦笑しながら渡してくれたんだ。

実際、この眼鏡のお陰かずっとパソコンに向かってるけど、目の疲れはあまり感じない。

「毎月みぃの眼鏡姿見てるけど、ほんっとできる女性って感じだよな。実際ミスも少ないし出来る女性だけど」

みなくんはいつも私の眼鏡姿を誉めてくれる。

「ふふ、みなくんいつもお世辞ありがとう」

「お世辞じゃないんだけどなー」

ポリポリと頬っぺた掻いている姿は葵そっくり。

「あ、みなくんもその癖あるんだね。葵と同じだー」

「え?あー、これ?なんか無意識なんだよな……。兄弟の血って怖いな」

みなくんは頬っぺたを掻いていた指を見つめる。