堕天使と呼ばれる女

ジャックの言葉を継いで奥から出てきたのは、30代から40代の男性。


よく見れば、50代にも見えるかもしれない…


しかし、くっきりした顔立ちが、どこかにあどけなさも感じさせる。

完全に年齢不詳だ…


一体、この人は「何なんだ?」という印象が一番強い。



ジャックより怪しいし、ジャックより怖い…




ボキッ!!!

「うぐっ!!」

「最後のは、声に出てたぞ…」

ジャックの悪口が、声になってしまっていたらしい…

機嫌を損ねたジャックに、また肋骨を折られた…

『痛ぇ…』


「比較できる対象を知らないんだから、ある程度は勘弁してくれよ…」

「そんなん知らねぇ。」


「まあ、聖羅からの預かりもんだ…
 ジャックも程ほどにしとけ。」

「あぁ、はいはい。」


「キング?
 俺は何する?」

「とりあえず、聖羅の護衛…かな」


「ぶっ!!

 必要ねぇじゃん!!

 ビール吹いちまった!もったいねぇ…」

飲んでたビールを勢いよく吹き出して、ジャックは更に不機嫌になったようだ。


「キング…さん?」


「キングでいい」

そういった時、初めて和也とキングの目線が合った。


和也はガツンと射抜かれた…



「最初に伝えておこう。

 聖羅を裏切る者は、誰であっても許さない。

 “死”あるのみだ。

 ここに来た時点で、退路は無い。

 それだけは心しておけ。」