堕天使と呼ばれる女

「あぁ…

 アレだろ…

 お前の妹…

 沙也だっけ?」



「…知ってるんですか?!」





「お前さ、おれたちのこと何だと思ってるわけ?!」

「…質の悪いヤクザ…みたいな?」

「もうちょっと肋骨折られたいらしいな…!!」

「いや、それはちょっと…」



「「くくくく」」
「「わははは」」
「質悪いってさ…」
「そりゃそうだろ」
「人間じゃないもんなぁ」


薄暗い空間に似つかわしくない笑い声が響く…


「ゴ、ゴホン!!」

ちょっと照れたらしいジャックが、わざとらしい咳払いをした。


「とにかく、お前の妹は既にマークしてある。
 お前より遥かに機密情報らしくて、なかなか確実なもんが入ってこないがな。」


「どうして…」


「それは…
「…当然だろう」


ジャックの声を遮って、別の場所から続きが聞こえてきた。

「あぁ…」
ジャックはそう一言唸って、口を噤み、新たな登場人物に続きを任せた。



「お前が聖羅にアクセスした時点で、オレたちは、お前とお前に関する情報はかなり押さえた。


 しかも、聖羅がお前に強力してやると決めた時点で、お前が俺たちの所に顔を出す事だって予想済み。

 特に不利な情報を先に押さえておきたいと思うのは、相手との交渉を有利に持って行き、作戦を立てていく上で当然の事だと思うがなぁ…」