舞い散る桃蝶








「何か欲しいのか?」



柚「あ…小袋…がないな、と」


「あぁ」



俺は自分の懐から紫色の小袋を取り出し
それを渡すと安心したように
それをギュッと握りしめた。



「それ、何入ってんだ」


柚「……石、です」


「石?」




そこから出てきたのは薄紫色の石に
紐が通っている首飾りのような物だった。
この辺でも見たことのない石に
興味がわいていた。



柚「これ…母の形見で…
  つけたことないんですけどね」



「どうして…」


柚「私には…似合いませんから(ニコ」




あぁ…こういうところか…
こいつの兄が言っていたことが理解できる。
自分のことを苦しめて泣きたいときに泣かない

自分のことなんて考えてない…


「俺は…似合うと思うけどな」


柚「それを言うなら土方さんの方が
  似合います」