舞い散る桃蝶







先生を連れていくとそこにはまだ苦しんでいる
柚姫が眠っていた。



椿「っ、…柚姫」


土「は?」


椿「柚姫!」



いきなり声を荒げ、近寄り寝ている柚姫を
肩で支えながら半身起こした


椿「柚姫?俺がわかるか?柚姫」



呼びかけているとうっすらと
目を開けた柚姫が男の頬に手を滑らせ
誰かを確認していた。



柚「に、さん…椿月兄さん」


椿「お前…どうして…」


柚「よかった…兄さん、生きてた…」



存在を確かめるように頬を撫でながら
幸せそうにしていた。
そんな光景を見てどうしてこんなに苦しくなる。
兄弟なんだ…普通だろ?
そう自分に言い聞かせながら目をそらした。



椿「柚姫、どうしてお前この時代に…」


柚「桜姫様が…助けてくれた…
  兄さん…ごめんね…私が、失敗したら…」


椿「そんなのお前が気にする事じゃないっ
  とりあえず無事ならそれでいい…
  でも、熱が高い…無理して動いたな」




まるで見ていたかのようにそう話すと
柚姫の胸の上に手を置き
何かをやろうとしていた。