闇の中に咲くランの花 Ⅰ



楓「どうする?戻るか?」


『まだ別荘近いし』とつけ加えてそう言った。

私のために言ってくれてるんだよね…。申し訳ないな…。


麻琴「ううん。奏と潤が心配だし…行こう」


なんで叫んだのか分からない方が恐怖だし。もしかして……足滑らせてどこか穴に落ちちゃった?それとも幽霊に会った?

怖いけど…顔を見て安心したい…。


楓「………立てる?」


麻琴「ちょっと無理そう…。ごめんね?もう少ししたら立てると思うから…」


立とうと足に力を入れたが立ち上がれそうにはなかった。

立てたとしても、多分木とかに掴まらないと歩けないと思う。産まれたての小鹿状態になるね


ふわっ

麻琴「ええっ!か、楓っ!」


そんなことを考えていると自分の体が宙に浮いた。そう、楓にお姫様抱っこされたのだ。


楓「地面湿ってるし、服も汚れる。それに、このまま歩いていけば折り返してくるよ」


確かに…。ここまで戻ってくるのを待つより、歩いている途中の方が出会える時間が早くなる


麻琴「だけど……このまま行くの?」


楓「だって麻琴歩けないでしょ?」


麻琴「うぅ…ご最もでございます…」


重たいはずなのに顔に出さないで…。ジェントルマンだわ…。


楓「紙、落とさないようにね」


麻琴「うん…」


そして私は楓の胸に顔をうずめた。

暖かいし…楓の心音あんしんするなあ…。