『その人はねぇ、貴女を騙しているのですよぉ。彼を信じない方が身のためですよぉ。もし、何かあったら僕の所に来てくださいねぇ? その紙切れに場所が書いておりますのでねぇ……』

そうだった。あの妖から無理矢理渡された物だ。
紙切れの中身を恐る恐る確認する。

【名前:夢来】
【家の場所・行き方:この紙切れを持って眠る】

「ゆめ……らい……? この紙切れを持って眠る……?」


胡散臭いにも程がある。こんな方法で行ける訳が無い。だけど、もしそれが本当なら?
一回だけ騙されてみよう。これで行けたらあの妖を信じても良い。

ラウリに言ったとしても『ただの戯れ言だ』とか言われて捨てられるのが目に見えている。
嘘だったら言うけどね。