「今日から一週間、麓の町で見世物市が始まる」

「見世物市?」

見世物と言うと余り良いイメージが湧かない。何か奇形な者や奴隷に酷い事をしてお金でも稼いでいそうだから。

「見世物市はフリーマーケットと言っても良い。町民から異国の者が集まって骨董品を売る」

フリーマーケット……それなら納得かな。何でラウリはその単語を知っているかが謎だけど、七無さんから教えてもらったのかも。

「へえ……可愛い小物とか着物とかある?」

「ある。お前も行くだろ?」

小物や着物が売って無くても行くつもりだったけど、あるなら尚更行かなくちゃ。

「勿論だよ」

私は笑顔で言葉を返すと、ラウリは起き上がった。
寝ていたからラウリの綺麗な髪の毛はぐしゃぐしゃだ。

「ラウリ、髪の毛ぐしゃぐしゃだよ。直してあげるから私の前に座って」

私は袂から椿の木で作られた櫛を取りだし、髪をすき始めた。