今日も絶望の中、ひっそりと息を潜めていた。

見慣れた教室に、いつものクラスメート。
騒がしい声に、溢れんばかりの笑顔。

それ事態はなんとも思わないけれど。
その裏に隠された想いが私の心をゆっくりと締め付けていく。

だって、その言葉も、その笑顔も。
全部が偽りなんだから。

俯いていた顔を上げて教室をぐるりと見渡した。
何人かの人と目が合い、本当の声が私の頭に響き渡る。


「サヤちゃんって頭いいよね!尊敬しちゃう!
(いくら頭がよくたって、性格が最悪だっつーの)」

「そんな事ないよ!ユカちゃんの方が頭いいじゃん!
(なーんてアタシの方がいいに決まってんじゃん)」


「ナナちゃん大好きだよ!(ばーかお前なんか嫌いだっつーの)」

「ありがとう!私も好き!(好きな訳ないだろ)」


ほら、やっぱり。
その言葉を呑み込んで俯く。

誰1人、本音なんて言わないで表の言葉を出していく。
だって、その醜いその感情を、言葉を、口に出したら人間関係は上手くいかない。
それが分かっているからこそ嘘の言葉を相手に向ける。
ある意味、賢いし、悪い事ではないと思う。
私だって普通に嘘をつくし、愛想笑いだってする。
皆が本音を言ったら上手くなんかいかないんだから。

でも、そんな偽りで得た友情なんて。
意味があるのかな……?
最近、分からなくなってきたんだ。
沢山の人の本音を耳にする事によって。
嫌いなら関わらなければいいのにって思うけれど。
そんなに簡単にはいかなくて。

グルグルと分からない感情だけが私を支配する。

誰か教えて。
私に答えを。

ぎゅっと奥歯を噛みしめる。