「でも、ハルマはずるいんだよ。
腕組んで女の人と歩いててさ、近寄ろうとしたらそそくさと逃げてさ。
誰?って聞いたら友達って言うんだよ。腕組むなんておかしいって言ったら、コドモにはわかんないって」

「ずるいな」

「でしょ?
そりゃーあたしはハルマよりコドモだけどさ、ハルマは彼氏なんだからわかるように説明すべきだよね」

「ああ。
・・・俺もおんなじようなことあった。ユーマ君は知らなくていいって言われた」

「ヒドイ」

「だろ?」

「我が姉ながらサイテー」

「我が兄ながらサイテー」




顔を見合わせて、むなしく笑った。


たぶん、コイツもあたしもわかってる。




「・・・あたしのこと、好きかな」

好きではない、きっと。

「好きだろ」

ありがとう。

「お姉ちゃんも好きだよ」

「ああ」




めんどうくさいあたし達の恋は、一体いつまで続くだろう。





「好きだなー。俺は」

「好きだなー。あたしは」




好きだな。

大好きだな。





「・・・付き合う?」

「まさか」

「だよな」



彼じゃないとダメ。

コイツも、お姉ちゃんじゃないとダメ。


だけど。


彼は。

お姉ちゃんは。





ハルマが腕を組んでた相手。

それは––––




『応援してるね』




「あーあー。帰ろっか」

「そーだな。帰るか」






別れてなんか、やんない。