屋根の下、菜乃ちゃんは必死に背伸びをして俺の頭にタオルを投げつけた。
「…真矢先輩、どうしたんですか?ずっとぼーっとしてましたけど」
目をそらしたまま尋ねる菜乃ちゃん。どうやら見られていたようだ。
本当に今日はぼーっとしていた。みんなには迷惑をかけたかもしれない。
でも、その理由を菜乃ちゃんに言うのにはためらいがあって、口ごもってしまった。
気まずい空気が流れ出す。長い沈黙にも、菜乃ちゃんは動じずどこかを見ていた。
俺が答えるのを待っているらしい。
答える気がない俺は困ってしまって、苦笑いをして誤魔化してみた。
それでも、菜乃ちゃんは俺の方を向いただけで何も言わなかった。
「…ちょっと、考え事してただけだから」
適当な言い訳をすると、菜乃ちゃんはやっと目をそらしてくれて「そうですか」と呟いた。
なんとか誤魔化せたかと安心していると、菜乃ちゃんはふと俺の前に立ちふさがった。


