背番号6、最後の青春




雨の中なら泣いても気付かれないだろうと、喉の奥から気持ちが込み上げてくる。

だけど、それをゆっくりと飲み込んだ。


「真矢先輩、何してるんですか!風邪引きますよ!」

菜乃ちゃんが、傘を持って駆け寄ってきたからだ。

「大丈夫だよ。俺、そんなやわじゃないし」

ニコッと笑ってそう言うと、菜乃ちゃんはスッと傘の中に俺を入れた。

小さな折りたたみ傘だ。背伸びをして俺を入れると、今度は菜乃ちゃんが濡れてしまう。

一歩近付いて、傘を菜乃ちゃんの方に押しやって、大丈夫だと繰り返す。

「…大丈夫だとか、やわじゃないとか、そういう問題じゃないですよ…」

そう言った菜乃ちゃんは、俺の服の袖を無理やり掴むと、屋根の下へと連れていこうとする。

菜乃ちゃんが濡れてしまうのは困るし、俺は黙って菜乃ちゃんについていった。

雨は、この時期には少し冷たすぎるけれど、それでも気持ちが良かった。