目をそらして少し考えたあと、フルフルと首を横に振った。
「別に、悪くはないけど」
そう言って無理に笑うと、裕翔は「そうか」と言って練習に戻っていった。
…調子が悪くはないけど、ただ、悩み事が頭から離れなくて。
気持ちがむしゃくしゃして、髪をくしゃくしゃとかく。
少し頭を冷やそうと水道の方を向くと、ふと頭上から水が落ちてきた。
ポツリポツリと、地面にシミをつくっていく。
雨の匂いが鼻をかすめるものだから、土砂降りになるかもしれないことを悟る。
でも、自然と足は動かないまま、俺は立ち尽くしていた。
雨が、頬を首を腕をつたっていく。
だんだんと強くなっていく雨。陸空先輩の声がどこか遠くで響いている。
きっと、雨宿りをするように呼びかけているのだろうけど、俺は動かなかった。
どうしようもなく泣きたくなったのかもしれない。


