陸空先輩にだけに聞こえる声で言ったのは、休んだ嘘の理由が広まるのが嫌だったから。
なんとなく、嘘が広まるのって嫌だから。
陸空先輩は「そっかあ」と肩を落としてから、ふと顔を上げて俺を見た。
「あれ、弘也ってそんな視力悪かったっけ…?眼科行くほどじゃない気がするんだけど」
…どうやら陸空先輩も、弘也の視力の良さを知っているらしく気になったようだ。
弘也は視力が落ちてきたと言っていたけれど…。
「…目でも痛めたんじゃないですか?」
適当にそんな言い訳をしておいた。
陸空先輩は納得した様子で、そっかと呟いてみんなに集合するように呼びかけた。
練習が始まる。
だけど、弘也のことが気になってどうしても集中できなかった。
…昨日病院に行って筋肉疲労だと言われたと言っていたけれど、本当は違うんじゃないだろうか。


