背番号6、最後の青春




ただ、弘也を乗せた車が見えなくなる前に呟いた。

「お疲れ様」

と。

それは弘也の死を受け止めたサインだった。前に進むために前をむこうと決めたサインだった。

乱暴に涙を拭いながら、家に帰る。

歩いていくと少し遠い道のりでその間に何度も泣きそうになったけれど、人の目もあるので唇を噛み締めていた。

足が鉛のように重たくて、弘也がいなくなった事情が重たくて、息が乱れる。

家につくまでがどうしようもなく長く感じて、そのうちに、やっとの思いで辿り着いた。

お母さんにただいまと伝えて、それからたったと自分の部屋へ向かい部屋の扉を開けた。

その瞬間、目に飛び込んできたのは俺の部屋でなぜかはしゃぐ部員たちだった。

10人くらいがギュウギュウになって部屋で戯れている。

「…なにしてんの、お前ら」

呆れて、先輩もいるのについ強い口調になってしまう。