背番号6、最後の青春




翌朝、朝からお邪魔させてもらい、弘也のお母さんとともに式場にむかった。

式が始まってもなかなか泣けなくて、やっと実感が湧いたのは最後のお別れをする時。

棺の中、いろんなものに囲まれて眠る弘也を見たときだった。

溜め込んでいた思いが心の底から這い上がってきて、言葉にできない代わりに涙となる。

未だに信じられなくて、というやりは信じたくなくて。

苦しくて弘也の名前を呼ぶけれど、もちろん返事をしてくれるわけなくて。

涙が、とめどなく溢れ出した。

ぽっかりと空いた心の傷に風が通り抜けていって、ズキズキと痛む。

さすがに火葬場にはついていかなかった。

ここでお別れ、ここでおさらば。

そんなの嫌だという思いを押し殺して、去りゆく弘也を乗せた車に手を振った。

それから、その後を追うように出ていったバスにも、手を振っていた。


弘也のお母さんは最後に「ありがとう」と言っていた。

…こちらこそ、ありがとうございます。