背番号6、最後の青春




弘也のお母さんは「もちろん」と答えてから、そろそろ切ると言って電話を切った。

ツーツーという無機質なその機械音を、しばらくの間聞いていた。

「…、弘也、俺…」

もう一度戦いたかった。

声にならなかった言葉が、涙となって頬を伝っていく。

機械音を止めた。手から携帯が滑り落ち、布団の上で一度はずんだ。

電話のために起こした体を、もう一度布団の中に沈めた。

常識から明日の朝と言ったけれど、本当は今からでも会いに行きたい。

だって、どっちにしろ今からも眠れないだろう。

「…ったく、夜中って…、最後までお前は周りに迷惑かけて、なんで…」

涙が、嗚咽が邪魔をして、言葉が声にならなかった。

何度も何度も嗚咽を繰り返しながら、何度も何度ももういない弘也に問いかけた。

なんで、死んだんだよ。なんで、お前なんだよ。なんで、いなくなるんだよ。

問いかけたところで返事は帰ってこない。

目を閉じると、まぶたの裏に弘也の笑顔が浮かんできて、泣き顔が浮かんできて、そのせいで余計に眠れなかった。