『ああ、真矢くん…?』
弘也のお母さんの、かすれて震える声が耳に届いた。
「弘也のお母さん…ですよね?」
確認する意味などないと分かっていながら、心のどこかにある期待がそうさせた。
そうじゃなかったなら、安心してぐっすり眠れそうだ。
だけど、
『ええ』
電話越しに聞こえてきた、ハッキリとした回答。心臓の音がうるさくなる。
どうかしましたかとは聞けなかった。弘也のお母さんが話し始めるまで待っていた。
『…こんな夜遅くに、ごめんねぇ。真矢くんには、1番に電話したくて…。
弘也、いっちゃった。それだけ、先に知らせておきたくて…』
1番に、知らせてくれたんだ。親友の俺に1番に知らせてくれたことが嬉しかった。
でも、知らせは決して喜ばしいものではなくて、気付けば視界が滲み涙があふれていた。
「あの、明日、朝、そちらに伺ってもいいですか?」
精一杯声を絞り出し言葉を紡ぐ。


