背番号6、最後の青春




浮かべられた笑顔がどこか引きつっていることに気付いたのは、そう思った次の瞬間だった。

本当は勝ち逃げなんてしたくないと、弘也の笑顔がそう物語っていた。

「なあ、弘也」

弘也が俺を呼ぶときと同じように、俺も弘也の名前を呼んだ。

なんだと顔をこちらに向けた弘也に、俺は淡い笑みを浮かべた。

「泣きたいときに、泣けよ」

その一言で、弘也が一瞬驚いた顔をして、また笑顔を作った。

「なんだよ、いきなり」

目が潤んでいた。声が震えていた。それに気付けないほど、俺は馬鹿ではない。

弘也とずっと一緒にいたんだ。弘也が泣きそうになっていることくらい分かる。

「笑顔がずっと、引きつってるんだよ」

そっと弘也の頭を撫でると、弘也の目から涙が溢れてきた。

それから間もなく、弘也が俺に向かって手を差し出した。

「寝ながらじゃあ、泣きにくいんだよ、馬鹿真矢」

だから泣かせんなよ、と付け足す弘也に、悪いなと答えて手を引いた。