背番号6、最後の青春




そうか、としか言えなかった。それ以上何も言葉が出てこなかった。

「…でもな、やっぱ特に羨ましくねえや。だって、誕生日だけじゃあ何も変わらねえもん。

年取って、だけど昨日と何も変わらねえもん」

ニッと口角を上げてそう言った弘也に、そうだなと俺は笑いかけた。

「確かに、変わらねえな」

俺も弘也も、1日ばかりじゃ何も変わらなくて。

ゆっくりと大人に変わっていくのなら、誕生日を迎えなくてもいいと思ったのだろう。

だって、誕生日を迎えたところで、大人にはなれないのだから。

だけど誕生日はちょっとしたケジメだし、きっと少なからず悔しいと思っているはずだろうが。

「あー、そろそろ、なんかな」

こぼれた声に、俺はそんなことを言うなだとか、大丈夫だとかいう声をかけることはできず。

ただ、弘也の頭を軽く小突いて、

「馬鹿、お前、勝ち逃げするつもりかよ」

逃さねえよと付け足してそう言った。

ふと驚いた顔をした弘也は、ゆるりと笑顔を浮かべると、

「勝ち逃げ、なあ…。それも、いいかもな」

なんてまんざらでもなさそうな顔をした。

…ばーか、勝ち逃げなんて、すんじゃねえよ。