それから弘也は俺を見て、切ない表情を浮かべて指をおろした。

「今日、お前の誕生日だろ。部活でおめでとうって言われなかった?」

カレンダーの、今日の日付を見てハッとした。そうだ、今日は俺の誕生日だったのか。

弘也の病室に通って部活に行っての日々のせいか、日付感覚がなくなってきたようだ。

「部活、多分みんな忘れてたよ。なにも言われなかったから」

覚えてたら一言声をかけてくれるはずだし俺も覚えてる、と付け足すと、弘也はそれもそうだなと納得した。

つーか、みんな、俺の誕生日忘れるとかひどすぎねえか。

まあ俺もよく忘れるし、人のこと言えないんだけれど。

「お、ということは俺が1番か!よっしゃ、真矢、おめでとう!」

1番に言えたことがそんなに嬉しいのか、はしゃぎながらそう言う弘也。

相変わらず元気そうだが、本当はそうでもないと知っていた。

すぐ疲れるし、最近はよく眠るようになった。