背番号6、最後の青春




「本当のことを言えばね、弘也くんの癌は肺にまで転移していただろう。

もうね、末期だったんだ。ここに来た時点で長くないことは確かだった。

だけれどそれを本人に伝えたらどうなるだろう。長くないと伝えてしまったら。

彼は、その中でも生きる希望を見出して生きてくれるだろうか。


病は気から、ということわざは知っているだろう。

まさにそのとおりなんだ。だから、気が滅入らないように嘘をついたんだ。

私達としても、1日でも長く、彼に生きてほしいから」

そこまで言って立ち上がった先生が、これくらいしかないけどとティッシュを渡してくれる。

俺はそれを何枚か受け取って涙を拭いた。

…そっか、そうだよな。たんに期待をさせるためだけに嘘なんて言わないか。

ポカリと空いた心の穴のようなところに、悲しみがどっぷりと溜まっていく。

でも、きっと泣くのはまだ早いだろう。