でも、いつまでも嘘だと否定し続けるわけにはいかず、その言葉をゆっくりと飲み込んだ。
吐き出しそうになる思いの代わりに、涙が目から溢れ出した。
混乱していた頭が冷静になり、“余命3週間”の言葉を咀嚼するごとに、込み上げてくるのは悲しみより怒りだった。
どうして弘也が。どうして死ななければならないのか。どうして、治らないのか。
どうしてだと、聞きたいことに頭を振って、怒りをなるべく抑え込む。
「…弘也、治らないんですか?弘也に治るからと、言ってたんじゃないですか?
…嘘ついて、なんで期待なんかさせて…」
フルフルと震える拳を見て、先生は立ち上がり俺の拳に手を重ねた。
俺より少し大きな大人の手が、俺の手を包み込む。
それから俺と視線を合わせるように、俺の前に静かにしゃがみこんだ。
白衣の裾が地面につかないように気を払いながら、そっと。


