椅子に座るように促され、椅子に座って先生と向かい合う。
膝の上においた拳をぎゅっと握りしめながら、先生の方をジッと見つめた。
「弘也くんのお母さんからお願いされて、本人にはまだ言ってないんだけど…」
言いにくそうにそう言った先生が、俺から目をそらしたあと、もう一度俺と目を合わせる。
「…余命、3週間、なんだ」
心臓が、ドクリと嫌な音を立てた。
…3週間?余命が、弘也の?…頭が、ついていかない。
その言葉を飲み込めないまま、あははと乾いた笑い声がこぼれる。
「先生、やめてくださいよ、そんな冗談…、笑えないですよ、ははっ」
口元だけに引きつった笑みを貼り付けているけれど、目だけは笑えない。
「…そんな悪い冗談、言うわけないだろう…」
先生はスッと俺から目をそらす。先生の握りしめた拳も震えている。
わかっている。冗談なんかじゃないとわかっている。
わかっているから、嘘だと思いたいんだ。


