帰り道、弘也のペースに合わせてゆっくりと歩いている中、ふと弘也が立ち止まった。
「どうした?足、痛いのか?」
振り返りながら尋ねると、弘也はフルフルと首を振った。力なく、振った。
「あのさ、入院、しない方向で検討したいから、母さんには今日のこと、隠しといてくれる?」
そう、くるのではないかと思ったけれど、まさか本当に言ってくるとは。
だけど俺は、そんな弘也の要求に迷う間もなく首を振った。
「俺さ、バイトしようと思うんだ。だから、入院費のことは気にしなくていいから」
笑う。思い切り弘也に笑いかける。
「いや、真矢にそこまでしてもらう必要は…」
そこまで言いかけた弘也の口を手で塞いでやる。
「俺がしたくてするんだから、止めるなよ」
ジッと強い目で見つめて訴えかけると、弘也はギュッと拳を握り締めた。
…そうだ、俺が好きですることなんだ。
俺が勝手に決めたことなんだから。


