ちらっと弘也の方を見ると、下を向いてギュッと拳を握りしめていた。
「…あの、絶対に入院しなきゃいけないんでしょうか…?」
弘也の言葉に、先生はどうしてかと首を傾げていた。
俺の方をちらりと見やった弘也視線から、弘也の心配していることを察した。
…弘也の家は母子家庭だ。おそらく入院費用のことを心配しているのだ。
4人部屋でもそれなりに高いと聞く。
「強制はしないけど、入るべきだとは思うよ。入院して治療をすべきだ」
強い口調で言う先生。きっと弘也が拒否をしないためだろう。
俺が口出す場面ではないことは知っていたが、下を向き続ける弘也を見ていられなくてつい。
「弘也、治るんですよね」
少し震えた声で、なけなしの勇気を振り絞ってそう尋ねた。
治らない、なんて言われるのが怖くて聞けなかった質問だ。


