…なんとか菜乃ちゃんから椅子を受け取ることができ満足した俺は、
ボールの空気を入れに行った菜乃ちゃんを見送ってから、友人たちと駄弁る弘也の元にかけていった。
「おい、話してないでまだ運ぶ椅子があるだろ」
ため息混じりにそう呟くと、弘也は「まあまあ」と言いながらも椅子を取りに行った。
「ほら、お前らも行けよ」
目の前でいちゃつくカップル…、もといチームメイトで同級生の俊太と、マネージャーで同じく同級生の花梨にそう言う。
「いいじゃん。せっかく働き者の1年生が入ってくれたんだし、少しくらいサボったって問題ないって」
平気でそんなことを言う俊太をジロリと睨むと、俊太は怖い怖いと言いながら笑う。
しかし尻を思い切り花梨に膝蹴りされ、痛そうにしながら渋々椅子を取りに行った。
…確かに、高校に入り初めて出来た後輩は驚くほど働き者だ。
あの冬の大会から約2ヶ月、部活に1年生が入部しまだ日も経っていない。
それにも関わらず、菜乃ちゃんを筆頭に1年生はよく働いてくれる。
分からないことがあればすぐに聞いてくれるから楽だ。


