状況がよく把握できないが、口々に私を呼ぶ声を無視するわけにはいかない。


軽く体をはたいて身支度をし、庭へ出ると途端に歓声が上がる。



「可愛いな、赤ずきんちゃん!」



「おいら、人間なんて見るの初めてだ!」



リスにまじまじと顔を覗きこまれ、私はなんだか気恥ずかしくなり、愛想笑いをした。



「ふむ、この子が狼さんの選んだお嫁さんですか。人間だと聞いてびっくりしましたが、なかなか聡明な顔をしている」



フクロウが眼鏡をきゅっと上げ、私を見定めるかのように、頭の上から足の先まで視線を向ける。


――お嫁さん?