ザワッと教室がざわついているのがわかる。
僕が教室に入ってから。

僕が感じたことのある、好奇の視線。



僕の嫌いな視線。




「千秋くんは体育祭、なにに出るか決めた?」





その空気を換えてくれるのは、やっぱりしぃちゃんなんだ。
僕は息を吐き、首を横に振った。




「去年は、なにに出たの?」




しぃちゃんの問いに、僕はしぃちゃんにもらったノートを取り出してペンを走らせる。




『綱引き。目立たずにいられるから』




正直にそう答えた。
本当は何にも出たくないけど、そういうわけにはいかないから。




「今年は?あのさ、もしよかったら、私と二人三脚に出ない?」

『二人三脚?』

「そう。今年は、男女ペアの二人三脚するんだって。楽しそうじゃない?だから、私と一緒にどうかな?」